「AIで動画を作れば安くなる」と聞いて相見積もりを取ったら、1本数万円の会社もあれば、50万円近い会社もあった。そんな声をよく聞きます。AIを使っても、費用の大半は「人が関わる工程」で決まるからです。
この記事では、AI動画制作を外注するときの費用の目安を種類別にまとめたうえで、価格差の理由、AIが向く動画・向かない動画、見積もりの前に決めておきたいことを整理します。
この記事のポイント
- SNS向けのショート動画は1本1万円台〜25万円、1〜3分の紹介動画は10万〜50万円、広告・CM風の映像は50万円〜が目安
- 価格差の正体は、企画・チェック・修正・運用に、どれだけ人が関わるか
- ショート動画は、1本の完成度より、本数を出して数字を見ながら直すほうが成果につながりやすい
- 人の顔や声は実在の人を使い、AIは説明やつなぎに使うと、「AIっぽさ」が出にくい
AI動画制作の費用相場(2026年10月時点の目安)
各社が公開している料金や相場の記事を、2026年10月に当社で確認した範囲でまとめると、次のとおりです。動画の長さよりも、使い道と工程の多さで価格が変わります。
| 動画の種類 | 長さの目安 | 費用の目安(1本) | 納期の目安 |
|---|---|---|---|
| SNS投稿・SNS広告用のショート動画 | 15〜60秒 | 1万円台〜25万円 | 数日〜2週間 |
| 商品・サービスの紹介動画 | 1〜3分 | 10万〜50万円 | 1〜4週間 |
| 採用・会社紹介の動画(実写と組み合わせ) | 1〜3分 | 20万〜100万円 | 3〜6週間 |
| 広告・CM風の映像、ブランド映像 | 15秒〜1分 | 50万円〜(数百万円になることも) | 1〜2ヶ月 |
※ 各社の公開情報をもとにした目安です。内容・本数・素材の有無によって変わります。
撮影を中心にした従来の動画制作は、1本10万〜300万円ほどが一般的とされます。AIを使うと、撮影やロケ、出演者の手配が減るため、同じ内容でも半分〜3分の1ほどに収まる例が多く、納期も短くなります。ただし、あとで説明するとおり、「安く・早く」だけで選ぶと失敗しやすいのも事実です。
同じ「AI動画」で10倍以上の差が出る理由
AIの動画生成ツールそのものは、月額数千円から数万円で使えます。それでも見積もりに大きな差が出るのは、次の工程にどれだけ人が関わるかが違うからです。
- 企画・台本
- 誰に何を伝えるかを決め、構成と台本をつくる
- 素材の生成
- 映像・画像・ナレーションをAIで作る。思いどおりの映像が出るまで、何度も作り直すのが普通です
- 編集・テロップ
- 映像のつなぎ、文字、音楽を整える
- チェック
- 手や文字の崩れ、不自然な動き、権利上の問題がないかを、人の目で確かめる
- 修正
- 何回まで、どこまで直すか
- 運用・分析
- 公開後の数字を見て、次の動画に活かす
1本数万円の価格帯は、これらの一部(とくに企画とチェック)を省いていることが多く、数十万円の価格帯は企画から修正まで人が関わります。見積もりを比べるときは、金額よりも「どの工程が入っているか」を並べて比べるのが確実です。
依頼先による違い
| 依頼先 | 費用の傾向 | 向いているケース | 気をつけたい点 |
|---|---|---|---|
| フリーランス(個人) | 安め | 単発で、作りたいものが決まっている | 品質と対応の差が大きい。権利と修正の条件を書面で確認する |
| AI動画を専門にする制作会社 | 中くらい | SNSや広告で本数が必要、説明・図解の動画 | 実写が必要な場面は、別の手配になることがある |
| 従来の映像制作会社(AIも併用) | 高め | 実写が中心、ブランド映像・CM | AIを使う範囲と、費用の内訳を確認する |
| 自社でツールを契約して作る | ツール代は月数千円〜数万円 | 社内向けの説明動画、SNSの補助的な素材 | 担当者の時間がかかる。品質を確かめる人が必要 |
AIが向く動画・実写のほうがいい動画
AIが向く動画
- 本数が必要なもの:SNSの投稿や広告で、何パターンも試したいとき
- 説明・図解:仕組みやサービスの流れを見せる動画
- 撮影が難しい場面:季節・天候・海外・架空のシーンなど
- 多言語への展開:同じ内容を、別の言語でも出したいとき
実写のほうがいい動画
- 人や店そのものが選ばれる理由になるもの:施術、料理、職人の手元、工場の現場など
- 採用動画:応募する人が知りたいのは、実際の職場と、一緒に働く人です
- 商品の細部:色・質感・大きさを正確に伝えたいとき
実際には、実写で撮った素材に、AIで作った背景や説明のパートを組み合わせる形が、費用と信頼のバランスを取りやすい方法です。
「AI動画は気持ち悪い」と思われないために
「AI動画 広告 気持ち悪い」という言葉で検索されることからも分かるとおり、見る人はAIで作った映像の違和感に敏感です。違和感が出やすいのは、次のような場面です。
- 手や指、口元、歯などの細部
- 画面の中の文字(看板やパッケージ)
- 不自然になめらかな動きや、途中で形が変わる物
- 声と口の動きのずれ
- 整いすぎた人物の顔
対策として、私たちは次の4つを決めています。
- 顔と声は、実在の人を使う。社員や代表本人が話す場面は実写で撮り、AIは説明やつなぎに使う
- 文字は生成させない。テロップや商品名は、編集の段階で入れる
- 公開前に、制作に関わっていない人が通しで見る。作った本人は違和感に慣れてしまうため
- AIを使ったことを隠さない。主要なSNSには、現実と見分けにくいAI生成の映像に表示を求めるルールがあります
見る人が気にしているのは、「AIかどうか」よりも「だまされていないか」です。人の顔と言葉は本物にして、AIは伝わりやすくするために使う。この線引きをしておくと、AIを使っても信頼を損ねにくくなります。
費用は「作る」より「伸ばす」に割く
ショート動画やSNS広告では、1本の完成度を上げるよりも、本数を出して数字を見ながら直すほうが成果につながりやすい、というのが私たちの考えです。どの構成がよく見られるかは、出してみるまで分からないからです。
たとえば同じ予算でも、次の2つでは、後者のほうが「何が伸びるか」の手がかりが早く集まります。
- 1本を作り込んで公開する
- 数本〜十数本を作り、最初の数秒の見せ方や構成を変えて試す。反応の良かった型を残して、次の制作に活かす
AIを使う一番の利点は、この「試す回数」を増やせることです。見積もりを比べるときは、1本あたりの単価だけでなく、「公開後の数字を見て直す工程」が含まれているかも確認してください。
見積もりの前に決めておくこと・確認したいこと
依頼の前に決めておくこと
- 目的:認知、問い合わせ、採用の応募など、どの数字を動かしたいか
- 配信先:Instagram、TikTok、YouTube、広告、自社サイトなど
- 長さと本数:1本だけか、毎月何本か
- 使える素材:写真、ロゴ、既存の動画、出演できる人
- 予算と時期:上限の金額と、公開したい日
依頼先に確認したいこと
- 制作した動画と、運用しているアカウントを見せてもらえるか
- 使うツールと、その利用規約で商用利用ができるか
- 手や文字の崩れなどのチェックを、誰がどの段階でするか
- 修正は何回まで、どこまで対応してもらえるか
- 完成した動画の権利(著作権など)は、誰のものになるか
- 公開後の分析や、改善の提案は含まれるか
商用利用と著作権で気をつけること
- ツールの規約:AIの動画生成ツールには、有料プランでないと商用利用できないものや、透かし(ロゴ)が入るものがあります。依頼先が使うツールの規約を確認しましょう
- 生成した映像の権利:AIが作った映像に著作権が認められるかどうかは、人がどれだけ創作に関わったかによる、とされています(文化庁「AIと著作権に関する考え方について」、2024年)。権利がどちらのものになるかは、契約書で決めておくのが確実です
- 似せすぎない:実在の人物や有名な作品、他社のキャラクターやロゴに似せた映像は、権利の侵害やトラブルの原因になります
- 実在の人の顔と声:本人の許可なく使わない。社員が出演する場合も、退職したあとの扱いまで決めておくと安心です
個別の判断が必要なときは、弁護士などの専門家に確認してください。
よくある質問
- 30秒のAI動画は、いくらで作れますか?
- SNS向けの30秒ほどの動画なら、1本1万円台〜25万円が目安です。企画や台本から任せるか、素材と構成が決まっているかで、大きく変わります。
- AI動画は、本当に安くなりますか?
- 撮影や出演者の手配が減るぶん、従来の動画制作より安く、早くなることが多いです。ただし、企画やチェックを省いた安さは、公開後の成果やトラブルにつながることがあります。
- 少ない予算でも頼めますか?
- まずは1〜3本の短い動画で試し、数字を見てから本数や予算を決める進め方がおすすめです。
- 自社で作るのと外注するのは、どちらがいいですか?
- 社内向けの説明動画や、SNSの補助的な素材なら、自社でも十分です。広告や採用など、成果と信頼が問われる動画は、企画とチェックができる依頼先と組むほうが安全です。